美しき古都シエナってどんなとこ?シエナについて徹底解説!

フィレンツェから南に60km、電車、バスで約1時間30分のところにある古都シエナ。中世の町並みを色濃く残した町並みは、毎年多くの観光客を魅了しています。見所満載のシエナ大聖堂、世界一美しい広場と言われているカンポがある魅惑の古都シエナについて。

目次

美しき古都シエナってどんなとこ?

シエナは、中世の町並みを色濃く残した、美しき古都です。人口は約5万3000人の地方都市で、ゴシック建築の町並みが美しく「トスカーナの宝石」と呼ばれています。1995年からシエナの町全体がユネスコ世界遺産に指定。

町は大きくなく、2日間あれば楽しめる規模です。主要都市がオーバーツーリズム状態のイタリアで、シエナはハイシーズンでなければ、観光客が少なく、気持ち良く観光ができるのが魅力の一つです。

高い建物が無く、中世の町並みに空と雲のコントラストがすごく綺麗です。ほとんどが煉瓦造りで、シエナカラーと呼ばれる赤茶色の屋根が堪りませんね。

シエナってどこにあるの?

シエナは、イタリア中部のトスカーナ州にあり、フィレンツェの60km南に位置しています。フィレンツェから電車、バスで約1時間30分です。ローマからは、電車、バスで約3時間30分。

町の特徴は?

シエナを一言で表すと『坂の町』です。3つの丘の上に広がって発展していった町なので、とにかく高低差があり、朝から観光をしたら1万歩はすぐ超えます。

街の中には、長く続いているエスカレーターがあります。それにしても、このエスカレーターが壊れたらと考えると恐ろしいですね。

ちなみに階段も半端ないです。この階段の先に滞在先のホテルがあり、1度登ってこのルートは回避を決定。

気候とベストシーズンは?

シエナの年間平均気温は約13度ですが、7、8月は30度を超えます。5月と10月の平均気温が20度くらいで雨もあまり降らないので観光しやすいですね。6〜9月に多くの観光客が訪れます。

シエナ生まれシエナ育ちのイタリア人に直接聞きましたが、1、2月は観光客が少なく、町自体が閑散とするのでお店を閉めるところもあるそう。観光自体はできるけれど、少し寂しい印象を受けるかもしれないとのこと。

服装は?

1年を通して日本と同じような気温なので、基本的には同じスタイルで大丈夫です。しかし、注意点は石畳に坂が多いという所。町の中心部は徒歩での移動になるので、歩きやすい格好、履き慣れたスニーカーは必須です。サンダルでの観光は死活問題ですので、お気を付けあれ。 

治安はどう?

フィレンツェから近いシエナですが、治安は大都市に比べて圧倒的に良いです。町が大きくないと言うこともあり、ジプシーやミサンガ売り、大道芸人などを見かけることはほぼありません。しかし、深夜の女性1人での外出は避けた方が良いですね。

治安が良いシエナですが、スリや置き引きが起こらないとは限りません。町歩きの際は、身の回りの持ち物に気をつけましょう。

シエナと言えばパリオ!

シエナ市の企画運営する大規模なイベントの「パリオ」。毎年7月2日と8月16日の2日間に開催され、世界的に有名です。「パリオ」を簡単に言うと、馬のレースのお祭り。毎年全国ネットのTVで生中継されるので多くのイタリア人が知っているお祭りの一つです。

シエナの17の地区の代表馬が参加し、カンポ広場の石畳に砂を敷いた馬場の上で競います。レースの距離は約1km。町中から集まったシエナの人々の歓声を受けながら、1周約300mの馬場を3周します。

日本の競馬のルールでは、騎手が落馬すると競争中止となってしまいますが、『パリオ』は騎手が落馬しても馬がゴールしたら良いということになっています。これぞ馬が主役のお祭りですね。

2023年8月16日に行われた「パリオ」のyoutube動画です。落馬状態のままゴールした地区の馬が、なんと優勝!展開もすごく面白いです。競馬が人気の日本人に是非知って欲しいイタリア・シエナのお祭りです。

シエナの見所は?

メインの見所は2か所です。シエナ大聖堂と町の中心にあるカンポ広場です。体力に自信がある人は、展望台までの階段が約400段あるマンジャの塔もありますよ。

シエナ大聖堂(Duomo di Siena)

町を代表するシエナ大聖堂。見所満載なので、駆け足で見て1時間30分〜2時間弱、ゆっくり見るのであれば3、4時間必要です。入場料は13、15、20ユーロとありますが、13ユーロでほぼ見ることができるので、かなり格安だと思います。

大聖堂、司教館、サン・ジョバンニ洗礼堂、ピッコロミニ図書館、未完成の拡張部分からなり、イタリアで最も美しいゴッシク様式を持つファサード(建物正面部のデザイン)と言われています。

思わずため息が出るほどの美しい造りです。大理石の横縞模様が特徴的で、細かい装飾は見応えあり。

扉と柱の重厚さがすごいです。近くに寄って見ることができるので、細かい装飾をご自身の目でご確認あれ。

シエナ大聖堂内(Cattedrale)

大聖堂内に一歩足を踏み入れると、その美しさと迫力に圧倒されます。写真撮影は、フレッシュ無しであれば基本どこでも可能です。撮影の際は、注意書きやスタッフの案内を守って行いましょう。

どれくらいの期間、どれだけの人がいたらこんな建造物ができるのかと考えさせられます。

床面装飾が美しく、デザインがたくさんあるので思わず立ち止まって見てしまう人ばかり。

パステリーノ・デ・パストリー二によって1549年に制作された最後の晩餐を描いたステンドグラス。

パネル、キャンバス、フレスコ画など数多くの絵画残っていて見ていて飽きません。

ピッコロミニ図書館(Libreria Piccolomini)

大聖堂内にあるピッコロミニ図書館。中世から近代にかけて栄えたイタリアの名門貴族のピッコロミニ家の図書館として知られ、美しいフレスコ画に鮮やかな色使いの装飾は思わず時が止まったごとく見入ってしまいます。

天井が凄い!シエナだけなく、イタリアの大聖堂では上を見上げましょう。このピッコロミニ図書館も写真で撮り放題。マナーを守って撮影をさせてもらいましょう。

シエナ大聖堂内で人気の見学スポットなのも納得ですね。

綺麗に展示されている聖歌隊の本は、すごく大きくて迫力あり。装飾が細かくてすごく綺麗です。

図書館を飾るフレスコ画は、1503年から1508年にルネッサンス期に活躍したイタリア人画家のピントゥリッキオと彼の工房によって制作されたと言われています。

ルネッサンス期のローマ教皇ピウス2世の生涯を讃えていて、丁寧に描かれたフレスコ画で当時の風景を想像することができますね。

ピッコロミニ家の紋章は月。床面には、びっしりと美しい月のタイル。

大聖堂付属美術館(Museo dell’Opera)

美術館も見所満載です。ゴシック期のイタリア画家ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャが1287-1288年にデザインしたとされるステンドグラス。

ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャのマエスタ(荘厳の聖母)。370cm×450cmと巨大な絵で、完成時はシエナ市民が担いで工房から大聖堂に運んだと言われています。

約800年前の銅の鐘も展示してあります。

ファッチャトーネからのパノラマ(Panorama dal Facciatone)

大聖堂付属美術館の屋上です。シエナの町を一望でき、これはイタリアで絶対見るべき風景の一つだと思います。

この屋上は人数制限があり、係員の誘導があります。ちなみに結構ハードです。短い時間で階段を登り、風景を楽しめると思ったら、すぐ降りてきて!と案内が。ゆったり観光できるオフシーズンのシエナで、唯一待ち時間が発生する所です。

ハイシーズンであれば、相当の待ち時間の覚悟は必要だと思います。

狭い螺旋階段を短い時間で登って降りてなので、体調万全かつ、スニーカーは必須!!

クリプタ(Cripta)

クリプタは、シエナ大聖堂の地下に位置します。大聖堂の正面から反時計回りに歩いていると、下り階段がありそこに入り口があります。

地下聖堂と言う意味のクリプタは、教会や城の地下に作られる石造りの部屋、貯蔵庫のこと。通常、クリプタは、礼拝堂や納骨堂として使用され、聖人や位の高い聖職者、高貴な人物の石棺や遺物が納められています。

13世紀後半に作られたクリプタは、1999年に修復作業の際に発見され、建築学、考古学的観点からも非常に興味深いものとなっています。

とても貴重なフレスコ画も間近で見ることができます。発見した時の、驚きと喜びはとてつもなかったと思います。

発見された最古の教会の基礎部分。

幾何学的、植物のモチーフで装飾された柱。13世紀からこういったモチーフが使われていたと思うと考え深いですね。

形、色使いにデザイン性がありますね。

洗礼堂(Battistero)

洗礼堂は、大聖堂裏手の階下に入り口があります。1316年に起工され、1325年に完成。

洗礼堂の見所は、天井のフレスコ画。15世紀のシエナ絵画を代表するこの作品は、通称『イル・ヴェッキエッタ』と呼ばれたロレンツォ・ディ・ピエトロのもの。

大聖堂、ピッコロミニ図書館の天井同様、美しいです。

その他、当時の主要な彫刻家によって1417年から1431年に大理石、ブロンズ、エナメルが使われた豪華な作りの洗礼盤も見所です。洗礼堂の中央にあるのですが、来訪時は修復中とのことで、白いカバーがかけられていて見れませんでした。

天国への扉(Porta del Cielo)

13ユーロのチケットには、大聖堂内部、ピッコロミニ図書館、大聖堂付属美術館、ファサードからのパノラマ、クリプタ、洗礼堂、ベルナルディーノ礼拝堂が含まれていて、そこに7ユーロ足した20ユーロのチケットがこの「天国への扉」に入ることができます。

この写真は、チケットセンターで配られている冊子に掲載されているものです。チケットセンターのお兄さんが「13ユーロのチケットで十分!と言っていたので今回はスルー。20ユーロのチケットを買っている人を全く見かけませんでした。

カンポ広場(Piazza del Campo)

町の中心のカンポ広場。世界で1番美しい広場と言われていて、初夏には多くのシエナっ子、観光客がこの広場に横になったり、腰掛けて一休み。中央に向かってすり鉢状に凹んでいるのが特徴的。

『パリオ』は、このカンポ広場で行われます。お祭りの時には、人で溢れかえる市民の憩いの場所です。

ガイアの泉(Fonte Gaia)

カンポ広場にある見所の一つガイアの泉。残念ながら、今回は、工事中で見ることができませんでした。ルネサンス期のイタリアのシエナ派の彫刻家のヤポコ・デッラ・クエルチャの作品ですが、1858年にコピーと取り替えられ、オリジナルはプッブリコ宮殿に展示されています。

世界中にファンが多くいる映画『007シリーズ』。2009年に公開された『007/慰めの報酬』がシエナがロケ地だったので、ガイアの泉があるカンポ広場が出てきます。

マンジャの塔とプッブリコ宮殿

カンポ広場に立つマンジャの塔とプッブリコ宮殿。この2つも実は観光名所ですが、大聖堂が見応えありすぎるということもあり、あまり人気はありません。

マンジャの塔(Torre del Mangia)

シエナのランドマークのマンジャの塔。13〜14世紀に建てられ、高さは102メートルで建設当時イタリアで1番高い塔でした。約600年も前からあると考えると改めて、凄いなぁと感じますね。

イタリアで1番有名な塔は、やはりピサの斜塔ですが、高さは約56m。40mも差があるんです。

せっかく来たので登ろうかと思いましたが、注意書きを見てスルーを決定。マンジャの塔は、時間ごとに区切られているのですが、30分で約400階段のある展望台への昇降と休憩なのでスーパーハードモード発動!

従って、心臓疾患、呼吸器疾患、閉所恐怖症・・・。と単語が並んでいます。どれにも当てはまりませんが、迷うことなく登りません。ファッチャトーネからのパノラマもあるので、好きな方に登るのが良いですね。確実にマンジャの塔の方が辛いと思います。

プッブリコ宮殿(Palazzo Pubblico)

13世紀から14世紀にかけて作られたゴシック様式の建築物で、半分が市役所、もう半分が市立美術館(Il Museo Civico)となっています。美術館の入場料は6ユーロ。ゆっくり見ても1時間かからない規模感です。マンジャの塔とセットで15ユーロ。

入り口から階段をしばらく登って入るリソルジメント(イタリア統一運動)の部屋。1815年〜1871年に起こったイタリア統一を目的とした政治的・社会的運動が壁画に描かれています。

大迫力の天井がここにも。観光客が少なく広々とした空間を独り占めしたような気分に。

ゴシック期のイタリアの画家シモーネ・マルティーニのフレスコ画の「マエスタ(荘厳の聖母)」。世代的にドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャの後継者に当たります。

こちらもシモーネ・マルティーニの作品「グイドリッチョ・ダ・フォリアーノ騎馬像」のフレスコ画。ワインのラベルのモチーフにも使われていて、ワイン好きの人は見たことがあるかも。

スピネッロ・アレティーノの「プンタ・サン・サルヴァトーレの海戦」。一人一人丁寧に描かれていて、海戦の臨場感が伝わってきます。アレティーノの絵画のスタイルは、トスカーナの画家たちに大きな影響を与えました。

プッブリコ宮殿は、造りが面白く天井、壁などをキョロキョロしながら周りました。

世界最古の銀行「モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ」

1472年に創業したモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(Banca Monte dei Paschi di Siena)は、世界最古の銀行と言われています。本店が世界遺産「シエナ歴史地区」を代表するサリンベーニ広場に面して建っていて、厳かで美しいゴシック建築の写真を撮ることができます。

名物は?

トスカーナ州にあるシエナは、「美食の町」として有名です。高級食材やオーガニックにこだわった専門店が多くあり、オリーブオイル、ワイン、生ハムなど美味しいものがたくさんあります。

チンギアーレ(Cinghiale)

チンギアーレは、イノシシ肉のこと。トスカーナ州では、イノシシや鹿などのジビエ料理は一般的で多くのレストランで食べることができます。プロシュート、サラミ、パスタのソースなど好きなものでお試しあれ。

ピチ(Pici)

シエナ発祥と言われているうどんのように太いパスタのピチ。もちもちっと食べ応えのある麺は、日本人にもウケが良いこと間違いなし。ラグーソースと組み合わせるのが王道ですが、チーズソースと合わせたものも人気があります。

リチャレッリ(Ricciarelli)

シエナ発祥の伝統菓子のリチャレッリ。アーモンド粉、砂糖、アーモンドを混ぜて楕円形に焼いたもので、中はしっとり外はサクッとした食感でクセになる美味しさです。

パンフォルテ(Panforte)

パンフォルテはトースカーナ地方の伝統的なお菓子で、もちろんシエナでも食べられます。ナッツやドライフルーツがたっぷり入った生地を焼き上げたケーキです。クリスマスの時期に食べられることが多いです。

シエナのレストラン・カフェ

シエナで実際に訪れたおすすめを紹介します。絶品パニーニのテイクアウト専門店『Il Bocconcino』と美味しいトスカーナ料理が楽しめる『Osteria Permalico』です。

Il Bocconcino

カンポ広場に面した路地にあるパニーニ専門店の『Il Bocconcino』。注文後にその場で作ってくれるパニーニは、イタリア版サブウェイ。お手頃価格で食べられる絶品パニーニは、なんと39種類!カスタムを含めるとその数は無限大。

Osteria Permalico

カンポ広場から近く、美味しいトスカーナ料理が食べられる『Osteria Permalico』。お手頃価格で食べられ、ワイン好きには堪らないラインナップも魅力の一つ。トマトソースを使わないラザーニャ・ビアンカがすごく美味しいです。

最後に

シエナは、ゴシック建築の中世の町並みを色濃く残した古都です。町は大きすぎず、2日あれば十分堪能できるので、週末観光にもおすすめ。町の中心にあるカンポ広場とシエナ大聖堂は、1度は訪れたいイタリアの名所です。シエナ大聖堂の内部は、フラッシュなしであれば写真撮影も可能。イタリア旅行で古都シエナ是非お楽しみあれ。

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この記事を書いた人

イタリアに3度旅行で訪れ、その後ミラノでメンズ服のデザイン留学をした東京生まれ千葉県育ちの日本男児。実際に住んでみてわかったこと、旅行だから感じることをベースに記事を書いています。イタリアに旅行をしたい日本人、日本を旅行したいイタリア人がもっともっと増えてほしいなぁと思っています。

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