歴史と芸術が好きな人は必見!アンブロジアーナ図書館・絵画館について徹底解説!

アンブロジアーナ図書館・絵画館(美術館)は、ミラノ大聖堂から徒歩で約5分の所にありながら、比較的、観光客が少なくゆっくりと作品を楽しめます。作品はたくさんありますが、広すぎず1、2時間で見ることができ、日本の旅行雑誌であまり紹介されていないので、ミラノの中で穴場的美術館です。

目次

アンブロジアーナ図書館・絵画館の基本情報

ミラノの中心部にあるアンブロジアーナ図書館・絵画館は、1607年に設立され、1609年に一般公開。世界初の公共図書館として開設され、絵画館として進化してきました。

レオナルド・ダ・ヴィンチの肖像画、ラファエロの『アテネ学堂』の下絵が目当てな人が多いですが、カラヴァッジョ、ボッティチェリの作品などもあり美術愛好家は要必見!

Veneranda Biblioteca Ambrosiana
ジャンル:美術館・博物館
住所:Piazza Pio XI, 2, 20123 Milano MI, Italy
電話:+39 02 806921
E-mail:contact@ambrosiana.it
公式サイト:https://www.ambrosiana.it

昔は写真撮影が出来ませんでしたが、今はフラッシュ無しであれば、撮影することができます。マナーを守り歴史的価値のある作品の撮影をさせてもらいましょう。他の観光スポットを同日に周る際は、写真をたくさん撮ると思うので充電にも注意。小さいモバイルバッテリーがあると助かりますよ。

チケット購入方法と入場料(2023年12月現在)

絵画館のチケットで、図書館も入れます。絵画館とクリプタのチケットはセットだと少しお得になります。

※1:ミラノカード所有者、Pogliaghi美術館かColosso san Carlo di Aronaのチケット保有者(発行から1年以内)、Gallerie d’Italia と Villa Arconatiのチケット保有者、Intesa Sanpaolo従業員、FITeLメンバー、ATMの年間シーズンチケット所有者と従業員、ロンバルディア地方のCralカードの所有者

※2:ツーリングクラブ会員、FAI会員、ドゥオーモパスまたはドゥオーモファストトラックのフルホルダー、ピエモンテ・ヴァッレ・ダオスタ美術館定期購読者、カルテット・カード・ソサエティ会員、COOP会員、カットーリカ・アクション会員、アミチ・ディ・ブレラ会員、Artsuppカード保有者、TRENORD購読者、Confcommercio Milano に関連する企業のメンバーおよび従業員

上記の割引の詳細、その他の割引、無料条件は公式サイトで確認してください。

オンラインで購入すると、チケット1枚につき上記の値段に1.50ユーロの前売り手数料が追加されます。繁忙期以外は、窓口での当日購入で良いと思います。(ちなみに混雑するのは稀)

開館日・時間と休館日

アンブロジアーナ絵画館とクリプタ、アンブロジアーアナ図書館の開館日と時間が違うので要注意。

アンブロジアーナ絵画館・クリプタ
(チケット売り場は、17時30分まで)

開館時間閉館時間
月曜日10時00分18時00分
火曜日10時00分18時00分
水曜日休館
木曜日10時00分18時00分
金曜日10時00分18時00分
土曜日10時00分18時00分
日曜日10時00分18時00分

・アンブロジアーナ図書館
観光客は、絵画館の開館時間の10時以降の入館です

開館時間閉館時間
月曜日9時00分16時50分
火曜日9時00分16時50分
水曜日9時00分16時50分
木曜日9時00分16時50分
金曜日9時00分16時50分
土曜日休館
日曜日休館


図書館の休館日は、祝日の他、夏季休暇、クリスマス休暇など変則的なので公式サイトのinfoで要確認。

アクセス

ミラノ大聖堂(Duomo)より徒歩5分ほど。ユニクロ、スターバックス・リザーブ・ロースタリー・ミラノの近くです。

コレクションと見所

アンブロジアーナ図書館・絵画館には、レオナルド・ダ・ヴィンチの有名な肖像画、自筆のコレクション、イタリアを代表するカラヴァッジョ、ボッティチェリ、ラファエロなどの作品が目玉展示としてあります。

静物画、宗教画、フレスコ画、彫刻、ステンドグラスなど種類が豊富で、建物の作り、空間も楽しみがら周りましょう。

宗教上の目的の為に描かれた宗教画は、読み書きができない庶民の為に、教会が絵画を画家に注文したことが始まりと言われています。誰が、どんな場面で、どのように描かれ、何を表現されているのかが見るポイントです。『目で見て理解する聖書』と言う目線で見てみると面白く感じるかもしれません。

※各作品の写真は直接撮影したものなので、ライティングやピントの関係で細かい所など見にくいものもあると思いますがご了承くださいませ。

カラヴァッジョ『果物籠』

バロック期を代表する画家で日本でも多くのファンがいるカラヴァッジョの『果物籠( Canestra di frutta)』。フルネームは、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ( Michelangelo Merisi da Caravaggio)。38歳の若さで亡くなったが、多くの作品が残っています。

アンブロジアーナ絵画館のコレクションの中で有名な作品の一つで、果物と葉の美しさはもちろん、編み込みのバスケットの精巧さが際立っています。新鮮な果物と腐った果物が並置され、徐々に乾燥して丸くなった葉が時間の流れを感じさせます。

ティツィアーノ『東方三博士の礼拝

盛期ルネサンス・ヴェネツィア派で最も重要なイタリア人画家のティツィアーノ・ヴェチェッリオの『東方三博士の礼拝(Adorazione dei Magi)』。キリスト教のイエス誕生の主題の名前で使われていて、何人もの画家がこのテーマで宗教画を描いています。

ティツィアーノの『東方三博士の礼拝』は、1559、60年頃に工房の助手の助けを借りて制作された作品と言われています。独特の色彩感覚、自由奔放な筆使いと繊細さがティツィアーノの特徴です。中央にいる柱におしっこしている可愛い子犬は、当時は不敬とされ塗りつぶされており、修繕の際に塗り直されました。

ティツィアーノは、当時の人達にキリストの存在を身近に感じてもらうために、日常的に見られる子犬がおしっこをしているシーンを描きました。一つ言えることは、聖書の真実性を裏付ける画家の解釈(日常的なことを描くということ)は、冒涜的なことではないということです。

ベルナルディーノ・ルイーニ『聖家族と聖アンナ、洗礼者ヨハネ』

イタリア・ルネサンスの画家ベルナルディーノ・ルイーニが1530年頃に板上に油彩で制作した宗教画の『聖家族と聖アンナ、洗礼者ヨハネ(Sacra Famiglia con sant’Anna e san Giovannino)』。1796年にミラノを占領したフランス軍に強制的に取られ、パリに持ち去られた後はルーブル美術館に展示されていましたが、1815年にミラノに返還。

ルイーニは、ダヴィンチに影響を受けたと言われていて、ダヴィンチの下絵『聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ(Cartone di sant’Anna)』を手本にしていると言われています。

ボッティチェッリ『聖母子と3人の天使』

イタリア初期ルネサンス絵画の巨匠サンドロ・ボッティチェッリが、1493年頃に板上に乳化作用を持つ物質を固着材として利用する絵具テンペラで制作した宗教画の『聖母子と3人の天使(Madonna del Padiglione)』。

フィレンツェ・ウフィッツ美術館のボッティチェリの有名な作品『春』、『ヴィーナスの誕生』は絵画の前に溢れる人がいてゆっくり見れませんが、アンブロジアーナであれば、ボッティチェリの貴重な作品をゆっくり堪能できます。

ブラマンティーノ『塔の聖母』

ブラマンティーノとして知られるイタリアの画家・建築家のバルトロメーオ・スアルディの『塔の聖母(Madonna delle Torri)』。通称のブラマンティーノは、ミラノで活躍した有名な建築家のドナート・ブラマンテから由来。

子供を抱いているマリア、対照的な2人の天使、聖人アンブローズと大天使ミカエル、足元には悪魔が描かれた宗教画。

ラファエロ『アテネの学堂』の下絵

バチカン美術館のラファエロの間にあるフレスコ画の『アテネの学堂(Scuola di Atene)』の下絵がこのアンブロジアーナにあり、ミラノで最も貴重な作品の一つ。この絵に描かれている人々は、古代ギリシアの有名な哲学者。

暗い部屋に展示されているこの下絵は、ものすごく大きく存在感と迫力があります。間近で見ることができ、ラファエロのファン必見の作品です。

ヤン・ブリューゲル『宝石、コイン、貝殻が入った花瓶』

ヤン・ブリューゲルは、ブラバント公国(現在のオランダ・ベルギー)の画家で、ピーテル・ブリューゲルの次男。花の静物画が得意だったので、「花のブリューゲル」、ビロードのような色調から「ビロードのブリューゲル」と呼ばれています。

個人的にアンブロジアーナの中で『宝石、コイン、貝殻が入った花瓶(Vaso di fiori con gioiello, monete, conchiglie)』が1番好きな作品です。存在感があり、美しく丁寧に描かれた鮮やかな約100種類の花で構成されていて、時間を忘れて見続けてしまいます。

ベルティーニ『ダンテのステンドグラスの窓』

ミラノ大聖堂の多くのスタンドグラスを制作したイタリア人画家のジュゼッペ・ベルティーニの『ダンテのステンドグラスの窓(Vetrata dantesca)』。フィレンツェ出身の政治家で、詩人かつ哲学者のダンテの作品がステンドグラスで表現されています。

1851年のロンドン万博の為に制作され、1865年のダンテ生誕600周年にロンドンで再び展示。1867年に一般公募で、アンブロジアーナに。

偉大な精神の中庭

『偉大な精神の中庭(Cortile degli Spiriti Magni)』は、建物の吹き抜け部分に当たり、中に入ることはできませんが、上から覗き見ることができます。

正面の壁にはダンテの言葉が記されています。彫刻で作られた偉人たちの像は、ダンテの文学作品の超大作『神曲』地獄編から着想されたもの。

エセドラの広間

エセドラの広間(Sala dell’Esedra)のエセドラ(エクセドラ)とは、建築物における半円形の部分のこと。

アンブロシアナ図書館長ジョヴァンニ・ガルビアーティが、1930年から1931年にかけて、ウェルギリウス(古代ローマの詩人)生誕2000周年を記念して、エセドラの広間に大きなモザイクの制作を頼みました。

頼まれたのは、画家のカルロ・ボッカとジョバンニ・ブッファ、モザイク画家のロドルフォ・グレゴリーニです。一般的な画家ではないので、イタリア人にもあまり知られていません。

このモザイクは、アンブロジアーナに貯蔵されているウェルギリウスの本のワンシーンです。

羊飼い、英雄、農父がいます。

そして、ウェルギリウス自身もモザイクで描かれています。

アイザック・ソロー『果物のある静物画』

ドイツのバロック画家アイザック・ソローの『果物のある静物画(Natura morta con frutti)』。美しいフルーツが特徴的な作品。テーブルの木目まで丁寧に描かれています。

2つの作品はサイズが微妙に違いますが、一緒にデザインされたと言われています。両方とも1893年にアンブロジアーナに到着。構成が素晴らしく、華やかさがありながら静寂さを感じられる作品。

ジュゼッペ・ヴェルミーリオ『ジュディスとホロフェルネス』

北イタリア出身のカラヴァッジョ派の画家ジュゼッペ・ヴェルミーリオの『ジュディスとホロフェルネス(Giuditta e Oloferne)』。ヴェルミーリオの生涯に関しての詳細はわかっていませんが、多くの作品がイタリアの美術館に展示されています。

おそらく1620年代に制作されたと言われているこの作品は、多くの画家の題材として描かれている「ユディト記」のもので、頭を袋に入れようとしています。ユディトは、旧約聖書に登場するユダヤ人女性で、自分の住む街を攻めてきた敵の司令官の首を切り落とし、街を救い、その勇気と決意が絵画で描かれています。

エミリオ・ロンゴーニ『学校から閉め出された』

19世紀末の芸術運動に影響を与え、社会的なテーマや風景を得意としたイタリア人画家のエミリオロンゴーニの『学校から閉め出された(Chiusi fuori di scuola)』。学校から締め出された2人の姉妹が等身大で描かれています。1888年に展示されたこの作品は、現実の人々を描き、社会的関心を顕著に抱くようになった転換点になりました。

この作品は、絵から読み取れる心理的洞察が興味深いと言われています。妹は学校から閉め出されたのにも関わらず笑っており、小さい子にとって退屈な授業をサボることができるという反応です。姉は人生における最初の責任に直面し、遅刻がもたらす結果を受け止めている表情で姉妹の対比が特徴的です。

ダヴィンチ『音楽家の肖像』

ダヴィンチに1483-1487年頃に描かれた未完成作品の『音楽家の肖像(Ritratto di musico)』。多くの画家の描いた男性の肖像画に影響を与えたと言われる作品で、モデルが誰かはわかっていません。その為、学者の間でよく議論されています。

2013年4月から6月に東京都美術館で行われたダヴィンチ展にて、実物を日本で見ることができました。

ベルナルディーノ・ルイーニ『茨の冠をかぶったキリスト』

ベルナルディーノのキリストを描いた壮大なフレスコ画の『茨の冠のキリスト(Incoronazione di spine)』。このモチーフは十字架にかけられる前のキリストで、茨の枝の冠は、キリストの苦痛と犠牲を表しています。宗教画として受難のエピソードを伝える為のものです。

アンブロジアーナ図書館(サラ・フェデリチアーナ)

レオナルドの間の隣にあるアンブロジアーナ図書館。館内マップには、サラ・フェデリチアーナ(Sala Federiciana)と記載されています。書籍がびっしりと並んでいます。

図書館に並んでいるガラスケースには、ダヴィンチが約40年間書き綴ったノートの一部の「アトランティコ手稿」が展示されています。内容は、数学、植物学、天文学、幾何学、動物学、土木工学、軍事技術など多岐に渡り、ファンには堪らないものが間近で見ることができます。

サン・セポルクロ教会のクリプタ(地下聖堂)

アンブロジアーナ図書館の出口のすぐ先にクリプタの入り口があります。教会は無料ですが、地下のクリプタは有料で絵画館とセットのチケットがあります。

クリプタ(地下聖堂)は、教会や城の地下に作られる石造りの部屋、貯蔵庫のこと。通常、クリプタは、礼拝堂や納骨堂として使用され、聖人や位の高い聖職者、高貴な人物の石棺や遺物が納められています。イタリアの大聖堂、教会ではクリプタを入って見れる所があり、どういった空間、用途なのかを知っておくと理解しやすくなります。

地下にありますが、静かで神聖な雰囲気で満たされています。壁に描かれた中世の宗教フレスコ画と天井に描かれたモチーフが見所です。アンブロジアーナにどうせ訪れたのなら見ておきたいクリプタですが、別料金なので興味がないのであればスルーもOK。

最後に

アンブロジアーナ図書館・絵画館は、歴史と芸術が好きな人は必見の観光スポット。ミラノで有名なブレラ美術館と比べ観光客が少ないので、ゆっくりと作品を見ることができます。中に入ると、迷路のような作りになっているので、館内MAPと案内を見ながら進んでいきましょう。イタリアを代表する画家の作品を貯蔵しいるので、事前に勉強をしておくとより楽しめます。静かな空間でじっくりアートをお楽しみあれ。

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この記事を書いた人

イタリアに3度旅行で訪れ、その後ミラノでメンズ服のデザイン留学をした東京生まれ千葉県育ちの日本男児。実際に住んでみてわかったこと、旅行だから感じることをベースに記事を書いています。イタリアに旅行をしたい日本人、日本を旅行したいイタリア人がもっともっと増えてほしいなぁと思っています。

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